『EO(イーオー)』はポーランド人のイエジー・スコリモフスキ監督作品、原題はポーランドで『IO』。
主人公はロバのEO ※Images by AC Photo
元はサーカスで芸をしていたロバのEOが、売られたり脱走したりしてあちこちを転々としていくさまをEOの目線で描いたロードムービーです。
『IO』は衛星のイオに因んだのかと思いましたが、馬のいななきの擬音語だそうです。イオだと女子のはずですが、映画のイーオーは雄だったのでなるほど納得です。
この映画について監督のインタビュー記事がありました、詳しいあらすじやコンセプトについて語られてます。
news.yahoo.co.jp
🎬感想(含ネタバレ)
予告編に出てくるEOの可愛さと、印象に残る風景映像を絶対見たいと思いつつ、インスパイア元の『バルタザールどこへ行く』という映画のあらすじを知り『だいぶ重い内容なのかも...』と構えて行きましたが正解でした。
見ていてうずら話が思った事は『動物は、されるがまま』でした。
体の大小や種に関わらず、動物はいつだって人間のされるがままですね。
柵の中でも外でも同じことだね ※Images by AC Photo
動物愛護の視点が含まれているのは明らかでしたが、『愛護活動』の描かれ方の陳腐さからすると監督の立ち位置は既存のものとは少し違うのかもしれません(うずら話の勘違いかもしれませんが)。
ひたすら可愛いロバさん ※Images by AC Photo
ラストシーンのEOとたくさんの牛たちを人間に置き換えると、第二次大戦時の強制収容所が即座に思い浮かびます。欧州全域に無数に存在したKonzentrationslager(強制収容所)、ポーランドにはあのアウシュヴィッツがあります。
ある日突然誰かがやってきて、乗り物に押し込められ、行き先もわからず連れていかれるのはどんな気持ちでしょうか。
危険を察知する大きな耳 ※Images by AC Photo
ポーランドが舞台の人間模様はどれも荒んだ感じで、酷い暴力の場面もあり監督は母国が嫌いなのだろうかwと思わせる世紀末っぷりです。実際のポーランドはのどかで良い所(もちろん場所によりますが)なので旅行先におススメです。行くなら治安的には南の方が良いです、北の方は微妙かもしれません(これはドイツも似たような感じかも)。
イタリアが舞台の人間ドラマの方は、キリスト教徒でないうずら話にはいまいちピンときませんでしたが、『背徳』がテーマでしょうか?東欧人の持つイタリアのイメージなのかなw イタリアではロバのサラミが普通に流通してるのを今回初めて知ったので、それを知っていればラストは容易に予想できたんでしょう。牛の中にロバが紛れ込む事はないと思いますけどね...。
緑の草地で一生過ごせればいいのにね
※Images by AC Photo
エンドロールにEO役の5~6頭のロバさんの名前が書いてありましたが、ひと目で「いやこれさっきのシーンと全然違う子やんw」ということが度々あって、どうなん?と思いましたw 『動物をモノとして扱うな』というなら毛色と体型くらい揃えた方がいいんじゃないかと。まあそんな疑問がどうでも良くなるほど、EOが脱走して一人で森や街をさまようシーンのロバ役者くんたちの演技は素晴らしかったです。美しくカッコいいお馬さんと違って、ロバの伏し目がちにうつむいた愁いのある表情はそれだけで絵になる不思議さがありますね。
※Images by AC Photo
動物好きにはおすすめです!とは言い難いですが、EOの姿を見てどう思われたか、色んな人の感想を聞いてみたくなる作品でした。
↓公式サイトはこちら
eo-movie.com
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